不動産売買仲介とは?業務内容や必要な資格、仲介の種類などを解説

公開日:2025/05/26

なぜ今、工務店・建築会社が不動産売買仲介に注目すべきなのか


建築業界を取り巻く環境は、常に変化していますよね。

人口減少や高齢化による新築住宅需要の頭打ち、顧客のニーズの多様化など、従来のビジネスモデルだけでは成長の維持が難しくなっている現状があります。

このような状況下で注目されているのが「不動産売買仲介業」です。

不動産売買仲介は、土地や建物の売買を希望する顧客の間に入り、契約成立に向けて様々なサポートを行うビジネスです。工務店や建築会社がこの分野に参入することは、収益源の確保はもちろん、既存事業との相乗効果、そして企業価値の向上にも繋がります。

本記事では、不動産売買仲介の基本的な業務内容から、参入に必要な資格、仲介の種類、そして工務店・建築会社ならではの強みを活かした事業展開について詳しく解説します。

御社の新たな一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

 

不動産売買仲介の基本:業務内容を理解する


不動産売買仲介は、具体的には以下のような業務が含まれます。

売主側の仲介業務の流れ


1.媒介契約の締結: 売却を希望する顧客(売主)と仲介に関する契約を結びます。契約には、仲介手数料や販売活動の内容などが定められます。
2.物件調査・査定: 対象となる不動産の権利関係、法令上の制限、市場動向などを調査し、適正な売却価格を査定します。
3.販売活動: チラシ、インターネット広告、オープンハウスなど、様々な媒体を通じて物件情報を広く告知し、購入希望者を探します。
4.購入希望者との交渉: 購入希望者からの問い合わせに対応し、条件交渉を行います。
5.売買契約の締結: 売主と買主の合意に基づき、売買契約書を作成し、締結をサポートします。
6.決済・引き渡し: 契約内容に基づき、代金の決済や物件の引き渡し手続きを円滑に進めます。

 

買主側の仲介業務の流れ


購入希望条件のヒアリング: 不動産の購入を希望する顧客(買主)の希望条件(エリア、予算、広さ、間取りなど)を詳しくヒアリングします。
物件情報の提供・紹介: 希望条件に合致する物件情報を収集し、顧客に提供・紹介します。
物件の内覧: 顧客と共に物件を訪問し、状況を確認します。
購入申し込み・価格交渉: 購入したい物件が見つかれば、購入申し込みの手続きを行い、必要に応じて価格交渉を行います。
売買契約の締結: 売主との合意に基づき、売買契約書の内容を確認し、締結をサポートします。
住宅ローンなどの手続きサポート: 住宅ローンの選定や申し込み手続きのアドバイスを行います。
決済・引き渡し: 契約内容に基づき、代金の決済や物件の引き渡し手続きを円滑に進めます。

工務店・建築会社にとってこれらの業務は、これまで培ってきた顧客との信頼関係や建物に関する専門知識を活かせる領域が多く存在します。

例えば、物件調査においては建物の構造や状態に関する専門的な視点を持つことが強みになりますし、リフォームやリノベーションを前提とした提案も可能です。

 

不動産売買仲介に「参入する」ということ:必要な準備と資格


不動産売買仲介業を行うためには、いくつかの準備と資格が必要になります。

主なものは以下の通りです。

宅地建物取引業免許の取得: 不動産の売買仲介を行うためには、国土交通大臣または都道府県知事の免許が必要です。免許取得には、法人または個人事業主であること、一定の財産的基礎を有すること、事務所を設置することなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
専任の宅地建物取引士の配置: 事務所ごとに、一定の割合で専任の宅地建物取引士を配置することが義務付けられています。宅地建物取引士は、不動産取引に関する専門知識を持つ国家資格者であり、重要事項説明や契約書への記名・押印など、重要な業務を行います。
事務所の設置: 事業を行うための事務所を構える必要があります。事務所には、帳簿や取引書類を備え付け、標識を掲示するなどの要件があります。
保証協会への加入(または供託金の供託): 不動産取引で顧客に損害を与えた場合に備え、保証協会に加入するか、法務局に供託金を供託する必要があります。保証協会への加入は、顧客からの信頼を得る上でも重要です。

これらの準備と資格取得には時間と費用がかかりますが、一度免許を取得すれば、継続的に不動産売買仲介業を行うことが可能となり、長期的な事業の柱を築くことができます。

 

不動産売買仲介の種類:自社に合った仲介の形を見つける


不動産売買仲介には、いくつかの種類があり、自社の強みや経営戦略に合わせて選択することが重要です。

一般的な仲介: 中古住宅、土地、マンションなど、幅広い種類の不動産の売買を仲介する最も一般的な形態です。地域に根ざした活動が重要になります。
買取再販: 中古物件を自社で買い取り、リフォームやリノベーションを施して再販するビジネスモデルです。工務店・建築会社にとっては、自社の設計・施工技術を活かせる大きな強みとなります。物件の価値を高めて販売することで、高い収益を期待できます。
新築戸建て・マンション仲介: 新築の戸建て住宅やマンションの販売を代理、または仲介する形態です。

工務店・建築会社が参入を検討する際には、既存事業とのシナジー効果や、自社の得意とする分野を考慮し、最適な仲介の形を選択することが成功への鍵となります。

例えば、リフォーム事業に強みを持つ会社であれば買取再販、自社で住宅を設計・施工している会社であれば新築戸建ての仲介に力を入れるなど、独自の強みを活かすことが重要です。

 

工務店・建築会社が不動産売買仲介に参入する強み


工務店・建築会社が不動産売買仲介業に参入する際には、他の仲介業者にはない独自の強みを発揮することができます。

既存顧客との信頼関係とネットワーク: これまでの事業を通じて築き上げてきた顧客との信頼関係や、地域のネットワークは、新たな顧客開拓において大きなアドバンテージとなります。OB顧客へのアプローチや、紹介による成約が期待できます。

物件の潜在的な価値を見抜く専門知識: 建物の構造、品質、耐震性など、専門的な知識を持つことは、物件の査定や購入希望者への説明において大きな信頼に繋がります。単なる仲介だけでなく、物件の価値を的確に伝えることができます。

リフォーム・リノベーション提案による付加価値の提供: 中古物件の購入希望者に対して、リフォームやリノベーションの提案を同時に行うことで、顧客のニーズに合わせた住まいづくりをサポートできます。これは、他の仲介業者にはない、工務店・建築会社ならではの強みです。

設計・施工部門との連携によるワンストップサービスの実現: 自社に設計部門や施工部門がある場合、物件探しから設計、施工までを一貫して提供できるワンストップサービスを実現できます。顧客の手間を省き、スムーズな住まいづくりをサポートすることで、高い顧客満足度を得ることができます。

これらの強みを活かすことで、価格競争に陥ることなく、独自の価値を提供し、顧客から選ばれる不動産仲介業者となることができます。

 

参入のステップと注意点:スムーズな事業開始に向けて


不動産売買仲介業への参入を成功させるためには、慎重な計画と準備が不可欠です。

具体的な参入計画の策定: 事業の目標設定、人員配置、資金計画、集客戦略など、具体的な計画を立てることが重要です。

既存事業との連携方法の検討: 既存の顧客リストやネットワークをどのように活用するか、情報共有の仕組みをどのように構築するかなどを検討します。

関連法規の遵守とコンプライアンス体制の構築: 宅地建物取引業法をはじめとする関連法規を遵守し、顧客保護のためのコンプライアンス体制を構築する必要があります。

人材育成: 不動産売買仲介に関する専門知識やスキルを持つ人材の育成が重要です。外部研修の活用や、資格取得の支援などを検討しましょう。

初期投資とリスクの評価: 免許取得費用、事務所開設費用、広告宣伝費など、初期投資に必要な資金を明確にし、事業開始に伴うリスクを評価しておく必要があります。
事前にしっかりと準備を行うことで、スムーズな事業開始と安定的な運営を目指しましょう。

 

不動産売買仲介への挑戦が、事業の新たな成長エンジンに


不動産売買仲介業への参入は、工務店・建築会社にとって、新たな収益源の確保だけでなく、既存事業との相乗効果による顧客満足度の向上、そして企業価値の向上に繋がる大きなチャンスです。

これまで培ってきた専門知識や顧客との信頼関係を活かし、独自の強みを打ち出すことで、競争の激しい不動産業界においても存在感を発揮できるはずです。

本記事が、御社が不動産売買仲介業への参入を検討する上で、少しでもお役に立てれば幸いです。新たな挑戦が、御社の事業のさらなる成長エンジンとなることを心より願っております。

 

関連資料はこちら


最後までお読みいただき、ありがとうございます!

本記事を読んだ方は、こちらの関連資料も読まれています。

ぜひご参考にしてください。

■工務店・建築会社様専用「不動産仲介業を始めるための教科書」

■工務店による不動産仲介業の失敗パターン8選