今回は、いま注目を浴びている『空き家再生ビジネス』について解説します!
地方を中心に空き家問題が深刻化していますが、地元工務店がこのビジネスチャンスを活用する方法はいくつかあります。
空き家の再生を通じて、工務店の皆様がビジネスを拡大し、さらなる成長を遂げるためのヒントを、業界の最新情報と共にご紹介します。
目次
空き家再生ビジネスの現状と可能性
空き家が生まれる背景
日本における空き家問題は年々深刻化しており、人口減少や都市部への一極集中が主な原因で、その他にも少子高齢化による世帯数の減少、地方都市における雇用機会の不足、都市部への人口流出など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、空き家増加に拍車をかけています。
空き家問題は、単に不動産の価値が下がるだけでなく、防災や治安など、地域社会全体に悪影響を及ぼす可能性も孕んでいます。放置された空き家は、倒壊や火災のリスクが高く、周辺住民の安全を脅かす存在となったり、景観を損ない、地域の魅力を低下させる要因になったりする可能性があります。さらに、空き家は犯罪の温床となる可能性もあり、治安悪化につながる懸念も指摘されています。
このような問題を防ぐため、国や地方自治体は空き家対策として、特別措置や、空き家再生事業への補助金制度などを導入していますが、空き家問題の解決には行政だけでなく、民間企業の積極的な取り組みも必要不可欠です。
特に工務店は、空き家再生ビジネスにおいて重要な役割を担うことができます。
市場動向と今後の見通し
近年、空き家再生の需要は増加しており、今後も拡大傾向にあるため、空き家対策は喫緊の課題となっています。
国や地方自治体による空き家対策の強化、空き家再生事業への補助金制度の導入、空き家再生に関する情報発信の強化など、さまざまな取り組みが進められています。これらの取り組みによって、空き家再生への関心が高まり、市場規模はますます拡大していくでしょう。
空き家再生ビジネスは、単に不動産の価値を高めるだけでなく、地域社会の活性化にも貢献できることから、注目を集めています。
また、環境問題にも貢献できます。既存の建物を活用することで、新たに建物を建てる際に発生するCO2排出量を削減することができます。
さらには、顧客に合わせたさまざまなニーズに対応できる住宅を提供することも可能です。例えば、高齢者向けには、バリアフリー設計や介護設備を備えた住宅を、子育て世代には、子育てしやすい環境を整備した住宅を提供することができます。
このように空き家再生ビジネスは、経済、社会、環境のさまざまな側面において、大きな可能性を秘めています。
法規制の変化
空き家対策特別措置法の施行により、放置空き家への対策が進められています。空き家対策特別措置法は、2015年5月に施行されました。この法律は、放置された空き家によって発生する様々な問題に対処するために制定されました。主な内容は、以下の通りです。(2024年10月時点)
- 空き家の所有者に対する義務付け
空き家の所有者は、空き家の管理義務を負うことになりました。具体的には、空き家の倒壊や火災などの危険性を防止するための措置を講じることが義務付けられています。 - 空き家の所有者に対する行政指導
行政は、空き家の所有者に対して、管理義務を怠っている場合、指導や勧告を行うことができます。 - 空き家の所有者に対する課税
行政は、放置された空き家に対して、固定資産税の税率を高くすることができます。 - 空き家の所有者に対する強制的な売却
行政は、放置された空き家について、所有者に対して強制的に売却を命じることもできます。
このように放置空き家に対する対策が強化されましたが、問題の解決には行政だけでなく、民間企業の積極的な取り組みも必要不可欠なため、工務店は空き家再生ビジネスを通じて、自社の成長と地域貢献の両面でメリットがあります。
工務店が空き家ビジネスに参入するメリット
新たな収益源の確保
空き家再生は、新しい収益源の確保につなげることができます。
既存の住宅建築やリフォーム業に加えて、空き家再生という新たな事業に参入することで、収益源を増やすことができます。既存の住宅をリノベーションすることで、新たな価値を生み出すビジネスモデルのため、新築住宅の建築に比べて、諸費用を抑えることができるのもメリットの一つです。
また、空き家問題の解決に貢献することで、地域住民からの信頼を得ることができ、新たな顧客を獲得する可能性も広がります。
地域コミュニティとの連携
空き家再生は、地域住民の意見を反映することで結びつきを強め、より良い街づくりに繋げることができます。また、地域密着になることで、工務店のブランドイメージ向上にも繋がり、工務店の認知向上にもつながるでしょう。
資産価値の向上
空き家再生は、不動産の価値を高める有効な手段です。適切なリフォームやリノベーションを行うことで、不動産の価値を上げ、売却価格を高く設定することもできます。
また、賃貸物件として活用する場合、賃料収入を増やすことも可能になります。
空き家再生の具体的なステップ
売主を掴む
空き家再生をするには、まずは売主を掴むパターンが主流です。
大手不動産会社は、売主を集めるのがセオリーになっているため、「売主集め」に莫大なコストをかけています。
買主を掴む
工務店が大手不動産会社を競合に売主集めをするのは、あまり現実的ではありません。
そこで工務店にとって有効な手段となるのが、自社で不動産情報を扱い、買い主を集客する方法です。
昨今は、中古住宅の需要も上昇しているため住宅購入を検討し始めた顧客と出会う場所を設けることで、物件の提案から大型リフォーム受注へ繋げることも可能になります。
工務店が空き家再生ビジネスに取り組む際の具体的な手法については、下記資料で詳しく解説しています。ぜひご参考にしてください。
参考資料
資料1:中古住宅仲介からのリフォーム受注!
資料2:工務店・リフォーム会社が不動産窓口を設けるべき10の理由
現地調査と診断
現地視察で物件の状態を正確に把握します。空き家再生の最初のステップは、現地調査と診断です。現地調査では、物件の構造、築年数、劣化状況、周辺環境などを詳しく調べます。診断では、再生可能性、費用対効果、法規制への適合性などを評価します。
リフォーム計画の立案
ニーズに応じた費用対効果を考慮したリフォーム計画を作成します。現地調査と診断に基づいて、リフォーム計画を立案します。リフォーム計画では、再生後の用途、デザイン、機能、予算などを決定します。費用対効果を考慮したリフォーム計画を作成することが重要です。
施工と管理
リフォーム計画に基づいて、専門業者による施工を行います。施工中は、品質管理、安全管理、工程管理などを徹底し、トラブル発生を防止します。
空き家再生におけるリスクとその対策
コスト管理の重要性
予算を超えないための厳密な見積もりとコスト管理が求められます。空き家再生は、予想外の費用が発生することがあります。そのため、厳密な見積もりとコスト管理が重要です。事前に、詳細な見積もりを作成し、予算をしっかりと把握しておく必要があります。
また、施工中のコスト管理も重要です。工程管理、材料管理、人件費管理などを徹底することで、予算オーバーを防ぐことができます。
法的問題への対応
空き家再生では、法的問題が発生する可能性があります。例えば、所有権の確認、建築基準法への適合性、都市計画法への適合性などです。物件購入前に、弁護士などの専門家による法的リサーチを行い、問題を未然に防ぐことが重要です。
売却後のフォローアップ
購入者との信頼関係を築くために、アフターサービスを充実させ、売却後のフォローまで、きめ細やかな対応を行うことが大切です。
アフターサービスには、保証期間の設定、修理対応、定期点検などが含まれます。
まとめと今後の展望
空き家再生は、少子高齢化や人口減少といった社会問題を抱える地域において、新たな価値を生み出し、地域活性化の力になれる、工務店にとって大きなビジネスチャンスです。
工務店にとっては、リフォーム工事の増加による収益向上、不動産売買による収益、地域社会との連携強化による新たな顧客獲得など、多くのメリットが期待できます。また、地域との交流を通じて、企業イメージ向上や地域社会における地位向上にもつながります。
空き家再生ビジネスを成功させるためには、耐震診断、リフォーム設計、省エネリフォーム、バリアフリー設計など、専門的な知識や技術が求められます。さらに、地域住民のニーズを把握するためのコミュニケーションも大切です。
不動産の価値を高めるだけでなく、地域社会の活性化にもつながるビジネスモデルです。
今後の空き家再生ビジネスは、さらなる技術革新と社会のニーズに応じた施策が求められるでしょう。例えば、高齢者や子育て世代など、さまざまなニーズに対応できる住宅の開発、シェアハウスやコワーキングスペースなど、多様な用途への活用などが考えられます。
このように、工務店は、空き家再生ビジネスを通じて、地域社会の課題解決に貢献すると同時に、工務店の収益源を確保するという点においても、大きな可能性を秘めています。
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